ブラジルの反W杯デモでヒュンダイの車が標的になったワケ

ブラジルの反W杯デモでヒュンダイの車が標的になったワケ
2014.5.20 17:00

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サンパウロで行われた反W杯のデモで襲撃された現代自動車の販売店。ガラスが割られ、展示車も破壊された=15日(ロイター)


 6月12日に開幕する4年に1度のサッカーの祭典、2014 FIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会。サッカーファンなら誰もが心を躍らせるW杯だが、中にはW杯開催に猛反対している人たちもいる。誰あろう、過去、5度の優勝を誇り、今回も優勝候補の筆頭に挙げられている開催国のブラジル国民だ。

 5月15日には、サンパウロで大規模なデモが行われ、暴動に発展。警官隊が催涙弾やゴム弾を発射し、火炎瓶を所持していた疑いで7人が逮捕された。AP通信などによると、約1500人の活動家がサンパウロの2つの主要道路を閉鎖。古タイヤを燃やしてW杯の開幕戦が行われるスタジアムの周囲を包囲した。その後、一部のデモ隊が暴徒化。韓国・現代(ヒュンダイ)自動車の販売店や銀行の支店などの窓ガラスが割られ、ついに警官隊と全面衝突する結果となったという。

 現代の販売店では展示してあった車がボコボコに破壊され、見るも無残な姿に…。それにしても、なぜ現代が狙われたのか? ブラジルの自動車メーカー別シェアを見ると、Big4と呼ばれる欧米系(フィアット、フォルクスワーゲン、GM、フォード)が高く、現代のシェアは5.7%(2013年度)ほどしかない。今回の被害は、単なるとばっちりではなく、深いワケがあるのだ。

 実は、現代は、ブラジル代表を無断で「広告塔」にした便乗販促キャンペーンを展開しており、これがブラジル国内で反感を呼んでいるのだ。「ヘクサガランティア」と名付けられたキャンペーンは、ブラジル代表が今回のW杯で優勝した場合、新車の保証期間を通常の5年から6年に1年間延長するというもの。「ヘクサ」はポルトガル語で「6」。ブラジル代表が優勝すれば通算6度目となることから、それにちなんだものだ。

 しかし、このキャンペーンは、ブラジルサッカー連盟(CBF)に対して、全く無断で行われたもの。CBFは「知的所有権を侵害している」として広告を取りやめるように抗議しているが、現代側は完全無視を決め込んでいる。さすがは、パクリ、便乗が当たり前の韓国企業といったところか。CBFのオフィシャルパートナーはフォルクスワーゲンで、現代の競合相手だ。CBFをはじめ、ブラジル国民が「厚かましいにもほどがある」と怒るのも当然だろう。

 15日のデモは、他の開催都市、リオデジャネイロやベロオリゾンテ、ブラジリアなどでも行われ、「FIFA Go Home!」などと書かれた横断幕が掲げられた。現代はFIFAの公式スポンサーで、反FIFAの矛先がスポンサーにも向けられた格好だ。

 今年4月に行われた世論調査では、W杯開催に賛成のブラジル国民は48%。一方、反対と答えた国民は41%にのぼり、大会が近づくにつれて反対派が増加傾向にある。問題視されているのは36億ドルにも及ぶスタジアムの建設、改修費用。「賛成」と答えた人の中にも、この金の使い道には疑問符を付けているようで、調査会社によると実に80.2%もの人が、W杯に使われる資金は医療、教育、住宅、交通機関などの公共サービスの改善に使われるべきだと考えているという。

 15日のデモは、「W杯本番での政府の警備能力をテストする意味合いが込められている」とされており、過激なデモに対する懸念はますます高まっている。大会期間中は10万人を超える警官が警備に当たる予定だが、国土が広大なだけに、不安視する声は絶えない。果たして、この先、何台の現代がボコボコにされてしまうのか-。現代ばかりか、W杯反対派は世界中から集まる370万人の観光客もターゲットととらえており、日本の外務省の渡航情報(危険情報)でも、十分な注意を呼びかけている。勝手に便乗商法を始めた現代の自業自得とはいえ、W杯期間中、ブラジルで現代の車に乗るのは、ちょっとした勇気がいりそうだ。(普)

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