「娘の顔写真ネットに」慰安婦報道の元朝日記者、怒りの講演 提訴は「言論を超えたから」

「娘の顔写真ネットに」慰安婦報道の元朝日記者、怒りの講演 提訴は「言論を超えたから」

 朝日新聞記者時代に慰安婦報道にかかわった北星学園大(札幌市)の非常勤講師、植村隆氏(56)が今月8日、高知市で「『慰安婦報道』と言論の自由」をテーマに講演した。自分の記事が週刊誌などで「捏造(ねつぞう)」と報じられ、名誉を傷つけられたとして、出版社などに対し、損害賠償などを求める訴訟を起こしている植村氏。講演では「私は捏造記者ではない」などと一連の批判に反論。家族までもが嫌がらせを受けている事実も明かし、声をつまらせながら「許せない」と怒りをあらわにした。講演の主な内容は以下の通り。

「私は吉田証言の記事とは無関係」

 朝日新聞は慰安婦報道で激しいバッシングを受けた。このうち、吉田証言(注釈1)は虚偽だったとして関連の18本の記事はすべて取り消された。しかし、私は、この吉田証言についての記事に全く関係していない。また、「慰安所設置に軍関与」というスクープ記事についても関係ない。

 しかしながら、朝日新聞バッシング本には「吉田氏の記事を書いた植村氏」などと書いたものまである。こうしたデマで、慰安婦報道の主犯は私であるかのように思う人がいる。

他の記者も同じ概念だった

 私は平成3年に元慰安婦について2本(注釈2)の(署名入り)記事を書いた。(このうち元慰安婦の証言を取り上げた記事で、慰安婦と女子挺身隊を混同した事実誤認に対する批判があるが)当時、韓国で慰安婦はほぼそのまま女子挺身隊を指した。

 (同様の表現をした他社の記者の過去記事などを示しながら)当時の記者はそういう概念だった。また、私は「連行」と書いたが「強制連行」とは書いていない。なぜ、私だけが捏造と言われなければならないのか。

家族のために書いてはいない

 〈一方、植村氏の義母が、元慰安婦らを支援する韓国の団体の幹部だったことから、裁判が有利になるために記事を書いたのではないかとの指摘=注釈(3)=がある。それに対し植村氏はこう答えた〉

 私が慰安婦問題を書いたのは、家族のためじゃない。歴史をきちんと見つめ、記録していこうという姿勢で取材をしている。

朝日の代表選手としてバッシング

 〈講演には市民ら約300人が集まり、関心の高さをうかがわせた。植村氏は終始熱い口調で語り、参加者は熱心に聞き入った。反論はさらに続く〉

 どうして私がバッシングされるのか。まず、私の実名の出た署名記事であり、その内容が、元慰安婦の証言を取り上げ、その後、証言が次々に出ることになって、国際問題化したことがあるだろう。そこに、朝日新聞の歴史認識などについて、良しとしない人々が、私をその代表選手としてバッシングしているのではないかと思う。

大学も被害者だ

 昨年発売された週刊誌で「慰安婦捏造」の表現を使った見出しの記事が報じられた。この記事の中で取り上げられた私が、(現在勤務する大学とは別の)大学教授になるということがわかると、発売直後から、抗議の電話やメールが(就任予定の)大学にどんどん来た。

 説明すれば大学側にもわかってもらえると思っていたが、事態は私の記事が正しいとか間違っているとかの問題ではなくなっていた。その後、合意で契約を解消した。いろいろ考えたが、大学も被害者だろう。

許せない娘への中傷

 ある日、嫌がらせの電話が家にかかってきた。その後もかかってきたので取らなくなった。(勤務する大学へも)「私をやめさせろ」というメールが増え、「やめさせなければ学生を痛めつける」という脅迫まであった。

 本当に大変だったが、それだけではない。昨年には娘の顔写真がネットにさらされ、かなりひどい言葉を書き込まれた。(声をつまらせながら)私に対するバッシングはともかく、私と関係のない娘へのものは許せない。闘うしかないと思った。

 一方で、大学が私をクビにしないよう応援メールも昨年9月ぐらいから広がっている。私は捏造記者ではない。不当なバッシングには屈しない。

言論を超えたから

 〈植村氏は最後に強い調子でこう語ると、参加者から大きな拍手が起きた。その後の質疑では参加者から「なぜ、裁判でなく言論で対抗しないのか」という質問が出たが、植村氏はこう答えた〉

 私の記事に対する批判そのものも最初の「事実誤認」というものから「捏造」へと変わっていった。非常に激しい個人攻撃へとなっていったことがまずある。そして、学生を痛めつけるという脅迫や、家族への人権侵害が起きている以上、議論は成り立たない。言論(での対決)を超えた部分があり、司法の場で判断してほしいと思った。それが(提訴の)理由です。

 〈講演は質疑を含め約2時間に渡った。当日、高知県警は抗議行動などで混乱しないよう会場周辺の交通規制を実施。会場の入り口でも関係者らが、入場者をチェックする厳戒ぶりだった〉

 注釈1・朝日新聞は昨年、「済州島で強制連行した」などとする故吉田清治氏の元慰安婦に関する証言は「虚偽」だったとして、記事を取り消した。

 注釈2・1本目は平成3年8月の「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」などの見出しがついた記事。2本目は同12月に「かえらぬ青春 恨の半生」などの見出しをつけ、日本政府を提訴した元慰安婦について書いた記事。

 注釈3・朝日新聞の第三者委員会は昨年12月、植村氏の記事については「縁戚関係にある者を利する目的で、事実をねじ曲げた記事が作成されたとはいえない」とした。

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